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  • 月別: 2019年5月

隼あすか法律事務所 ニュースレター 臨時(働き方改革関連法)

今回は臨時ニュースレターとして【働き方改革関連法の施行】についてお届けします。

時間外労働の上限規制、年5日の年次有給休暇の確実な取得、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保など、働き方改革を推進するための関連法律が、施行の段階に入りました。

もっとも、今般の働き方改革のめざすところは多岐にわたっているため、どの問題についていつから対応しなければならないのか、すなわち、法律の施行時期がわかりにくくなっています。

そこで、今回の改正のうちの主要なものについて、改正法の施行時期をご説明いたします。

■時間外労働の上限規制

三六協定記載の時間外労働の限度時間が、1ヶ月45時間及び1年360時間(休日労働含まず)とされます。
また、臨時的な特別な事情がある場合でも、1年720時間以内(休日労働を含まず)、1ヶ月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月が限度と設定されます。
さらに、臨時的な特別な事情の有無にかかわらず、1年を通して常に、1ヶ月100時間未満(休日労働含む)、2〜6ヶ月平均80時間以内でなければなりません(以上、労働基準法36条3項ないし6項)。

施行時期は、2019年4月1日、ただし中小企業については2020年4月1日です。

■1ヶ月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%)についての中小企業への猶予措置の廃止

1ヶ月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率は50%ですが(労働基準法37条1項但書)、中小企業には、この割増賃金率の適用はこれまで猶予されていました(労働基準法138条)。

この猶予の扱いが、2023年4月1日に廃止されます。

■年5日の年次有給休暇の付与義務

使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうち5日について、年次有給休暇発生日から1年以内の期間に、労働者ごとに、年次有給休暇を、時季を指定して与えなければならないとされます(労働基準法39条7項)。

施行時期は、中小企業か否かにかかわらず、2019年4月1日です。

■高度プロフェッショナル制度

高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務(金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務等)に従事し、高収入の労働者(※1)について、労働時間・休憩・休日や時間外・休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しないとする制度です(労働基準法41条の2)。制度導入の際には、労使委員会で、対象業務、対象労働者、健康確保措置などを5分の4以上の多数で決議し、書面による本人の同意を得ることが必要となります。
(※1)使用者から支払われると見込まれる賃金の額を1年間当たりの賃金額に換算した額が、基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額(※2)以上である労働者をいいます。
(※2)1075万円以上と決定されました。

施行時期は、中小企業か否かにかかわらず、2019年4月1日です。

■雇用形態に関わらない公正な待遇の確保

同一企業内において、非正規雇用労働者について、正規雇用労働者との不合理な待遇差を禁止するものです(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条、9条等、労働者派遣法30条の3、30条の4等)。

施行時期は、パートタイム労働法、労働契約法については、2020年4月1日、ただし中小企業については2021年4月1日です。
労働者派遣法については、中小企業か否かにかかわらず、2020年4月1日です。

●中小企業の意義について

これまで見たように、中小企業にあたるかどうかにより、改正法の施行時期が異なる場合があります。
中小企業にあたるかどうかは、業種ごとに、資本金の額や常時使用する労働者の数を考慮して判断されます。
中小企業に該当する会社は、以下の会社です(労働基準法138条)。

小売業の場合・・・資本金の額または出資の総額が5,000万円以下 または 常時使用する労働者数が50人以下
サービス業の場合・・・資本金の額または出資の総額が5,000万円以下 または 常時使用する労働者数が100人以下
卸売業の場合・・・資本金の額または出資の総額が1億円以下 または 常時使用する労働者数が100人以下
その他・・・資本金の額または出資の総額が3億円以下 または 常時使用する労働者数が300人以下

時間外労働の上限規制と有給休暇取得の義務化は、すでに施行され、罰則規定も存在します。早急な対策が必要です。
その他の事項についても、就業規則や賃金規程を見直すためには、短時間労働者・有期雇用労働者を含む労使の話し合いが必要となる場合があり、また、企業として原資などを検討しなければならないことがあります。
諸々の対応には相応の時間を要するため、計画的に進めることが求められます。

何かお困りごと、悩まれていること等ございましたら、お気軽に弊所までご連絡ください。

(労務人事チーム/弁護士 伊藤稔彦

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